もしかして、これってトレードルールの作り方(6)

2014/06/08 カテゴリ:トレードルール
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もしかして、これってトレードルールの作り方(6)

いよいよ6回目に突入。連載も終盤戦です。
さて、前回「もしかして、これってトレードルールの作り方(5)」で、
上のチャートの赤で囲んだ部分をレンジと判断した理由を考えてみて
ほしいと宿題を出しました。
答えは人それぞれかもしれないけど、そのひとつとして。

  • 1時間のレンジ幅が5-6pips程度の区間が2時間以上続いている
  • ボリンジャーバンドのミドルラインが横向き=トレンドなし

レンジブレイクを狙いたいのであれば、まずレンジになっている箇所の判断がつかなければなりません。よく、「卵が先か鶏が先か」という命題がありますが、レンジブレイクにはレンジ相場が必要なのは明確ですね。


レンジもあとから見ないと、そこがレンジだと判断できませんが、
ポジションを持ってないなら、レンジと判断がつくまで判断を保留に
すればよいだけです。


前回の記事で、

エントリーまでにいかに相場の
状態を判断できているか?

これが鍵になると説明しました。
レンジブレイクの仕掛けどころが、レンジの上限か下限いずれかのブレイクであるなら、まずはその上限と下限を判断できなければなりません。
あなたは、明確な根拠がありますか?

 

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大切なのは相場の状態

エントリーはチャートの右端で判断しなければなりません。
その時必要なのが

(1)エントリーするプライス
(2)エントリー方向

もし、成行注文でエントリーするのであれば、プライスは現在のBidとAskを使用するため、あなたが決断するのは「上に行くか」「下に行くか」の2択です。言い換えると「買い(Buy)」と書かれたボタンを押すか、
「売り(Sell)」と書かれたボタンを押すかの違いです。

 

この時、一切の感情をなくし、チャートの右端だけで判断するならサイコロを振ってエントリーするのと同じはずです。
上がるか下がるか1/2の勝負ですから。


それにもかかわらず、明確に「買い=上だ!」「売り=下だ!」と判断しているのは、チャートの左側の情報を元に判断しているからです。
つまり、究極的にはこうです。

チャートの右端では
タイミングを図っているだけです。

方向感はどこで決まるのか?
それはチャートの左側です。FX寺子屋的には「相場の状態」といいます。

では、相場の状態とはなにか?

(1)現在の戦局

4つの戦局パターン

いまが4つの戦局パターンにおいて、どの「戦局」にいるのか。
これが大前提。レンジブレイクを狙うのであれば、「レンジ」の戦局にいなければなりません。すでにブレイクしてトレンドが発生している状態ではブレイクは狙えません。


「押し目」を狙うのであれば、トレンドが発生している必要があります。
自分の狙っている戦局の成立に必要な戦局になっているかを確認します。

(2)トレンドの方向

トレンドの方向

レンジブレイクを狙う場合は、ブレイクするまで方向感はつかめませんが、
押し目を狙うのであれば、発生しているトレンドの方向はつかめているはずです。もちろん、どうやって「トレンドを判断するか?」という問題はありますが。チャートの下から上に向かっているなら、アップトレンド。逆ならダウントレンドという単純な定義でもいいでしょう。

(3)ボラティリティ

ボラティリティ

トレードで利益を出すには、ボラティリティが不可欠です。
ボラティリティについては以前に「改めてボラってなんだ?」でも触れましたね。ボラティリティが重要であることは、トレーダーなら理解しているでしょうが、「何を持ってボラがある、逆にボラがないか?」という話になると答えに詰まる人がたくさんいます。


ボリンジャーバンドやATRといったテクニカルを持ち出してくる人もいますが、単純に説明するなら

あなたのトレードに必要な値動き
の幅(比率)=ボラティリティ

どの程度の幅(比率)が必要かは、トレードスタイルによって変わります。
スキャルパーであれば、15pipsあればトレンドと判断しますが、デイトレーダーの場合は、ノイズとして判断するかもしれません。

相場の状態をどう判断するか?

相場の状態が何を意味しているかはわかったと思いますが、

問題はそれをどうやって判断するか?

……。


考えこむほど難しいことじゃないですよ。
チャートの右端では、使えるインジケータはほとんどありませんけど、
左側の判断をするには、インジケータやオシレータで判断できます。

また、トレンドラインや水平線などの補助線を引くことも出来ます。

分析からの未来予測に絶対を求めるから間違うのであって、過去チャートの事実は覆らないということ

これを頭に叩き込む必要があります。

チャートの左側で相場の状態を判断して、チャートの右端のエントリーに活かす。この図式は正しいですが、どんなに丁寧に分析したところで絶対はありません。あくまでも「予測」や「予想」に過ぎないためです。


でも、エントリーに失敗しても、チャートの左側が書き換わることはありません。これまで上げ相場であったなら、エントリーポイントでドテンに変わって下げ相場になっても、これまで上げ相場だった事実は覆りません。
あなたがエントリーしたポイントが、たまたま「トレンドの終焉だった」
だけのことです。


さて、あなたが相場の状態をひと目で判断できるようにするにはどうすればいいでしょうか? それが「チャートを作りこむ」という作業です。
トレードに習熟した人は、それこそ線一本で相場の状態を読み取れますが、
不慣れな場合はテクニカル指標(インジケータ)の力を借りてください。


インジケータは終値ベースで動作するため、エントリーには遅すぎます。
また、相場の情報の一部を切り取って計算しているものが多く、
相場のすべてを表しているわけではありません。
だから、エントリーの根拠に使うには向きませんが、
相場の左側=相場の状態を判断するのには十分使えます。


例えば、MAやボリンジャーバンドは多くの人が使うテクニカルですね。レンジ相場では、ボリンジャーバンドのミドルライン(SMA)がほとんど真横に走っているのを確認できると思います。
中長単期のMAを使っている人は、それぞれのMAの間隔が狭くなっていることに気づくでしょう。


どんなテクニカルでも構いません。

あなたが捉えようとしてる相場の
状態が判断できるのであれば!

よく、インジケータのパラメータ、数値ばかりを気にする人がいますが、チャートの形にあっていればなんでもいいのです。インジケータやオシレータを使う場合、パラメータよりも利用目的と、それぞれのテクニカル指標の特性のほうが大事です。


ただし、注意が必要なのは、やたらめったら補助線を足したり、テクニカルを足してもダメですよ。チャートが線だらけになってわけがわからなくなります。

過去チャートで検証することを忘れずに

相場の状態を判断する条件を決めたら、それを過去チャートで検証する必要があります。検証作業は面倒ですが、

検証作業が、博打と投資の境界線を
超えられるかを決めます。

検証作業は、ひたすら機械的な作業なのでシンドイ。でも特殊な技能は必要いらない。必要なのは「忍耐力」ぐらいです。


まず、検証条件を紙に書き出しておきます。
あとは、紙に書きだした条件を過去チャートにあてはめて、自分が判定したい相場の状態の条件と一致しているかをひとつずつ確認していきます。
最低でも30箇所は抜き出して検証してみてください。


この時、検証条件を目の前のチャートに合わせて改定しないように気をつけてください(カーブフィッティングになります)。あとは、実際に発生した相場の状態の数と、検出できた数を照らしあわせて、最初の定義があっているかを確認するだけです。


プログラミングの技術があるなら、相場の状態の定義をインジケータなどに落とし込み、実際のチャートに表示させて目視で確認することもできます。


時間も合わせて記録しておけば、どの時間帯に発生しているかも確認できるでしょう。

検証には目視による実践的な検証と、機械的な統計検証があるヨ。 どっちも大事ダヨ!

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この記事に対するコメント

7 件のコメント

  • 為替和尚
    2014/06/08 16:32

    いつも勉強させてもらってます。(笑)
    この単純な発想に行き着くまで、どれほど時間を費やしたのかwww

    『予想』『予測』は大事ですが(精度)・・・勝率?
    『予想』『予測』が外れた時の処理能力&潔さが大事なんですけどね・・・

    まぁ、一般の人は、予想や予測が当たる&外れる事が一番嬉しいことだと
    思いますので、当て屋にばっかり目が行くんでしょうけどね・・・

    まぁ、私も昔そうでしたから、仕方がないことなのかもしれませんね!

  • まつもと
    2014/06/08 19:43

    濃いぃぃぃ〜〜!内容に脱帽です。

    ここまで明確に指南してくれている内容には、お目にかかった事がありません。
    プログラマー思考だけが成せるワザでしょうか。

    私が勝てなかった頃、和尚様がコメントでお書きになって下さっている様に、当て外れに一喜一憂したいがために、無理矢理エントリーポイントを作っていた様な気がします。

    今でも順行すれば少しは嬉しい気分にはなりますが…(笑)

    そのうち無くなってしまう感情なのでしょうか?
    いや、これに感情が伴わなくなった=当て屋を卒業できるスキルが身についた ことになるのでしょうか?

  • お宮
    2014/06/09 00:54

    吉田章太郎様

    こんばんは!

    目、目茶苦茶わかり易い記事ありがとうございます!!

    相場の状態これは無茶苦茶大事ですね!!

    左側、、、ヤバイです!

    そこで何が起こっているのか?

    その後、自分はいつ、どこで、どうなったら参加するのか?

    そして、どこで履き、どこで脱ぎ捨てるのか?

    色々考えれば考えるほどモチベーションMAXです!

    毎回ありがとうございます!!感謝!!ポチッ!

  • ゲルググ
    2014/06/09 01:04

    こんばんは
    スイングやデイトレーダーからしたらノイズになる
    そうですね。その5分足のレンジの以前が気になりますね
    上昇からのレンジか下降からのレンジなのか
    4時間や1時間足のトレーダーでトレンド中なら増し玉ポイントと見ますし
    レンジブレイクがどっちに行くかは分かりませんが増し玉なら同方向に意識しつつ反対にブレイクすれば15分5分足のトレーダーとしてトレードする
    この時に種玉持ち状態になり両建てになる・・・とか
    ひとつの通貨が複数銘柄になりますのでなんとでもなる
    自分が複数のトレーダーになれば管理は出来ますね。(全時間軸にトレード出来る)
    日足がトレンドなら楽なんですがねw
    これをやるとひとつの通貨に集中してしまいますね。
    指標等で数日前からその通貨にトレンドが起きやすい
    これが相場が常にトレンド中でありレンジ中であると見えます。

    ただ他の通貨も見てしまうと目移りしてしまう・・・ので
    口座を分けて多通貨管理法をデイトレードでみたいにやってます。

    1.5.15分のスキャルならまた別の思考で取り組みますが(数年前はこれでしたが僕には合わないのでよく疲れてました。)

    たぶん勝てないといわれる人の多くはこのスキャルに意識して脳内パニックに
    なるのではないでしょうか?精神がレートとトレード回数に追いつかず
    集中力切れや損による苦痛がルールを破る原因かと思えるんですが
    レートやローソクに翻弄されてしまうではないかと思います。

    稼げない人は週・日・4時間で時間の感覚とキチンとルールを守ることに集中して稼ぐことの感覚を身につければ早い時間軸でも同じことをするだけですね
    ぶれ幅はもちろん違いますがそれはキチンと検証してデータ管理をすれば
    どの時間軸でトレードすることも可能ですしLotの管理とコントロールも当たり前にするでしょうしどの銘柄でも稼げる すべてやることは同じ 
    チャートが存在すれば全て対応できる。

    数分で数万円~数百万円の利益を出せる仕事に多くの人がに就いてないから
    金額の慣れも追いつかないと思いますし精神崩壊しやすいでしょうね。

    シューティングゲームのプロゲーマーレベルでしょ?
    プロスポーツ選手のレベルだと思いますし(卓球やバトミントン、サッカー・格闘技等)もちろんF1やレースも
    F1レーサーはランニング中にテトリス超スピードをやってトレーニングするのが当然みたいに言ってましたよ(TVで)
    瞬間的に見極め執行するしかもシナリオがあり状況判断をする
    いちいち数分の想定外に固執しないそこも想定内にある
    とかしながら実はすでに体が勝手に反応できるレベルであること

    これをプロでない一般の人がすぐ出来ると勘違いしてしまうぐらいの
    ネットの宣伝・・・
    出来ないから辛いから絶対を求める方法に安心を求め彷徨う。。。
    このループが弱者量産で まぁ本当はありがたいんですが(稼ぐ側からしたら)
    プロ野球の場で代打として150km/hのプロの玉を打てますか?。
    350km/hの車の運転を安全且つ他者と勝負のかけ引きしながら出来ますか?って思います。
    (実はプロもハイレベルでありながら安全なところでしか勝負しないw甘い玉しか打たない、安全な直線や低速なヘアピンでしか抜かない しかし一般人からしたら時限の違う安全な所)

    トレードも同じ、高い確率や優位性のある所にエントリーし安全に利益確定する
    ただこれをプロでない人からみたらそこだけにしか意識しない・・・積み上げて出来た事を知ろうとしない

    横でその道のプロが言葉で今!って詳しく事細かく説明してもその説明時間に秒がかかる
    ここで絶対の差ができ、同じ事はその場で出来ないですね
    (だから遅い時間軸が時間の余裕がある 学ぶ時間がある)

    絶対が無いからその道のプロが存在出来るのでしょう
    だからプロ同士で戦うし仕事になる。絶対がないから戦う

    その道のプロはその道で稼げるからプロ仕事ですよね 
    稼げない時点でプロではなく仕事でなく見習いの状態 
    これがわかっていればやることは同じことの訓練しかないし出来ることを出来ると知る、そして出来ることを増やしていくしかないでしょうね

    考えず悩まず出来ることを簡単といえるのではないでしょうか?

    ごめんなさい ブログ主旨からズレたコメントでしかも長文で申し訳ありません
    今回でコメント側から引きます。

    取り上げてもらえたりして感謝してますし勝手ながら学ばさせて頂いてます。
    ありがとうございました。

    1番の愛読ブログです。 今後も熟読させて頂きます。

  • まつもと
    2014/06/09 12:33

    1読者の意見ですが、私はこの素晴らしいブログと、ゲルググさんのコメントも楽しみ、かつ、愛読させて頂いておりますm(_ _)m
    横ヤリ失礼致しましたm(_ _)m

  • 2014/06/09 20:05

    To まつもとさん

    >プログラマー思考だけが成せるワザでしょうか。

    たしかに吉田は相場というものを努めてロジカルにとらえてます。
    プログラマということもありますが、やはり、自動トレードシステム
    の開発に長年従事していることもあるでしょうね。
    機械には感覚的な説明は通用しません。

    >いや、これに感情が伴わなくなった=当て屋を卒業できるスキルが身につい

    当て屋の卒業は結構先の話になると思いますよ。
    ゾーンの領域ですね。これはスキルもそうですが、考え方の
    転換が一番大きなウェイトを占めています。
    説明されてもピンと来ないでしょう。

    感覚的に言えば「悟り」に近いのかも。

    To お宮さん

    >色々考えれば考えるほどモチベーションMAXです!

    相場は楽しいですよ。
    単なる金儲けの手段として捉えている人は、いつまでも上達しないでしょうね。
    モチベーションは人から与えられるのではなく、自分がやりたいと思う気持ちが一番大事だと考えます。

  • 2014/06/09 20:38

    To ゲルググさん

    いつもコメントありがとうございます。
    ゲルググさんのコメントは、今回のコメントもそうですが
    本質をわしづかみしている上、実践者ならではの視点なので
    こちらとしても大変勉強になります。

    ゲルググさんの時間軸の見方は、いろいろと勉強になります。
    知り合いのマーケットメイカーも同様の視点を持っていたので、
    やはり勝てる人は、明確なストラテージがあると再認識させられ
    ました。

    相場の世界では、プロとアマチュアの技術や視点の違いについて
    気付いてない人が多いように思えます。これは相場にかぎらず、
    競馬の世界でも同じで、商材のウリ文句を見てると噴飯してしまう
    ようなものばかりです。

    実践に向けたトレーニングなくして、本番は戦えません。
    それなのに、らくして儲けようと考えている人ばかりですね。

    >実はプロもハイレベルでありながら安全なところでしか勝負しない

    いわゆる勝負どころってやつですね。
    よほどの実力差や性能差がない限り、ほとんどの競技では駆け引きを
    して、相手のミスを誘ったところを付いているように感じています。
    特にラリーを前提としたテニスや卓球は、基本的に相手のミスを待つ
    ゲームだと理解してます。

    >今回でコメント側から引きます。

    そんなつれないこと言わないでください(笑)。
    皆さんにコメントを頂けるのが、執筆する何よりの励みになります。
    でなければ、週に1回とはいえ、1つの記事に1時間半もかかるようなことをしませんよ(笑)。

    無理強いをするつもりはありませんが、堅苦しく考えず、コメントできそうな記事には気楽に付けてくださいね。