もしかして、これってトレードルールの作り方(3)
前回の「トレードルールの作り方(2)」では、自己分析について触れましたね。それらを考慮した上で、相場のどの波を狙うかを決める。
チャートを見てると、相場が大きく動いてる部分だけをみて、
「もしかして、このルールで行けるんじゃね?」
と都合の良い解釈で、自己都合のルールを作りがちです。
前回までチャートを見るなといったのはこのためです。
どれだけ客観的に捉えようとしても、目の前にチャートがあれば、
その形に少しずつ寄って都合の良い解釈をしてしまうのは
人のサガです!
別にあなただけじゃないので、安心してください。
よく、エントリーする前にきちんとルールを決めておけと言われているのも実はコレ。ポジションを持った状態でチャートを見ていると、
自己都合バイアスMAX!
なんです!
こんな状況で冷静な判断を下すには、相当な訓練を積んでおく必要がありますが、書籍やウェブでかじった程度では到底身につくものではありません。
では、どうすればいいか?
紙の上で理屈が説明できるようになるまで、チャートを開かないことです。
第3回目は、自分が狙うべき波を理論的に扱う方法について説明します。
理屈で勝つ!
師匠(為替和尚)もよく言ってるように、相場の世界で勝ちたければ
まず、「理屈」で勝たなければいけません。
相場の世界というか、勝負の世界での勝ち方は大きく分けて2種類あります。
- (1)勝率を高める
- (2)リスクよりもリワードを大きくする(リスクリワードレシオ)
これを野球でたとえるなら、高勝率というのは、ヒットで出塁率を高めるバッター(イチロー型)で、リスクリワードを高めるのは、ホームラン一発で高得点を稼ぐホームランバッタータイプです。
これらをひっくるめた大原則が
損失よりも利益を大きく
=損小利大
なのです。
この辺はずっとブログでも書いてきたので、読者の方にはアタリマエ
のことかもしれませんね。
では、これを理屈の上で実践するにはどうすればいいでしょう?
(1) 勝率を高める
FXの場合、上がるか下がるか1/2の勝負なので本来の勝率は50%付近ですが、手数料やスプレッドが引かれるので、だいたい期待値は46%ぐらいに落ち着きます(それ以下の勝率の場合は、余計なことをして勝率を落としていると言えます)。
この件については「FXに勝つための2つの条件」でも触れてます。
理屈の上ではリスクリワードが1:1であれば、勝率が50%でチャラ
になるはずですね。
ということは、勝率を高めて勝つには、リスクリワード1:1の時に、
勝率51%以上を出せばプラス収支になるということです。
この原則が理解できたら、あとはどうすれば勝率アップできるかを考えるだけです(これが難しいという説もあるけどね…笑)。
(2) リスクよりもリワードを大きくする
これが昔から言われている「損小利大」の典型的なスタイルです。
でも、理屈で説明できる人が意外に少ない。
損小利大の勝負はギャンブルで例えたほうが簡単。1回100円の勝負があったとします。自分が好きな番号を選んで、それと同じ目が出たら出目ごとの配当がもらえるというゲームを想像してください。
このゲームの場合、10回勝負し、9回外れても1回の的中で10倍以上の配当を得られればチャラですね。1000円使って1000円戻し。
ということは、1勝9敗の成績でも、11倍以上の配当が得られれば勝ちです。
ここまでは誰でも理解していると思います。
でも、なかなか理解してないのが次の関係。
- 1回あたりの参加料 (賭け金) =リスク
- 自分の勝率 (何回に1回当たるか)
- 的中時に必要な配当(オッズ)=リワード
- 自己資金量
単純化した先ほどの例でいうと、
- 1回あたりの参加料(賭け金)=100円
- 自分の勝率=10% (10回に1回的中)
- 的中に必要な配当(オッズ)=11倍
- 自己資金量=1000円
これらは相互に関係した方程式のようなものです。
すべての変数が未知数xのままでは、数式は解けません。
(面倒なので式は作りませんが…笑)
上記の式の中でコントロールできるものと、出来ないものがあります。
さて、それは何でしょう?
次回までの宿題としますので、コメント欄などに書いてくださいね。
リスクリワードで勝負する場合は、上記の方程式を解くことが理屈で
勝つにつながります。
机上で自分の戦略を確認する
よく「机上の理論」は、実戦を知らない戯言だと、戦争もののマンガや
映画ではバカにされますが、机上の理論は本当にダメですか?
吉田の理屈は
机上の理論で勝てないものが
実戦で通用するはずがない
チャートを前にすると、自己都合MAXの人も、紙の上なら冷静な判断ができると思います(机上で興奮するような変態は、よもやいないですね?)
さて、ここでおなじみの「4つの戦局」。
あなたは前回の自己分析で、どこの波を狙うと決めましたか?
では、具体的に、ブレイクアウト(レンジブレイク)を例に説明したいと思います。ブレイクはこの中でも比較的狙いやすい戦略です。
はい、レンジブレイクを狙うのはいいとして、そのために必要なものは
なんでしょうか?
そうです。
「レンジ」を「ブレイク(抜けた)」したらエントリするのだから、
まずはレンジを定義する必要があります。
レンジを定義だって?
そんなの見たらわかるじゃん
こんな声が聞こえそうですね。
そう。「見たらわかる」。
でも、どこを見てレンジだと判断してますか?
あなたが相場をはじめてまもない頃、「レンジ相場」「チャブついてる」「揉み合い相場」なんて言葉をみて、どれを指しているかわかりましたか?
理屈で勝つ。机上の理論で勝つには、まずこういった曖昧さを排除しなければなりません。
次に、レンジブレイクとは?
これも紙の上で考えます。
レンジと判断したライン=プライスを抜けたら、即ブレイクと判断するのか、それともローソク足の確定し、終値が抜けてることを確認するのか?
そして、自分の目論見、作戦が崩れるポイントはどういう条件になった時か?
これもすべて机上の図を使って考えます。
一例ですけど、レンジブレイクの損切りの条件として、エントリーした足の高値(もしくは安値)を割られたら損切りというのもあるし、ブレイクと判断したラインを終値が割ってきたら損切りと判断してもよいです。
大事なのはすべて紙の上で、
机上の理屈で条件を決めること
チャート上でこれらの作業をやると、目の前のチャートに都合の良い条件をくっつけてますよ。これは裁量トレードのカーブフィッティング(いいとこ取り)なのです。
まずは、紙の上で、じっくりと作戦を練ることが大事です。
>上記の式の中でコントロールできるものと、出来ないものがあります。
さて、それは何でしょう?
はい!吉田先生!(笑)
リワードはコントロール出来ないと思います。(どこまで伸びるかわからないので)