あなたの注文、どこまで通るの?
ある人に言われました。
その気になれば、2000枚でも3000枚でも注文通るだろ。
100枚、200枚でそんなに気を使うことあるか?
1枚=1万通貨=0.1ロットです。
2000枚は200ロット=2000万通貨、約20億円(20M)ぐらいですね。
どのぐらいの注文数量なら通るか、これはしばしば議論されるところですが、結論から言えば、どこまで注文を受けるかは業者に聞いてください。
ただ、それだけの注文を通してもらったとしても、あなたが望んだ条件とはかけ離れている可能性があります。
今日は意外と知らない注文数量、ロットサイズのお話です。
大口注文は通ることは通るが…
大口注文は通ることは、通りますけど…
スベります=スリッページ
あるいは、滑らないけど、スプレッドが山盛りもられます。
どちらもスキャルピングのように、1pips、2pips勝負をしている場合には、致命的な問題になります。
よく、スベらされたり、スプレッドが急にワイドになると、業者にだけ文句をいう人がいますが、相対取引を理解していない可能性がありますね。
もちろん、業者は自分のところの利益を確保するために、スプレッドを高めに設定していたり、約定をすべらせる場合もありますが、個別の事例を取り上げるのが、今回の記事の趣旨ではないので、置いときます。
例えば、「絶対約定」、「瞬時約定」をうたっている業者いますよね? でも、こういう所はスプレッドが他所よりも高めじゃないですか? 吉田が最初に契約したFX業者は、マネーパートナーズというところで、ここも瞬時約定、絶対約定を売りにしてました。
実際、バツンバツン入りますけど、スプレッドはめちゃくちゃ高かったですね。GBP/JPYのスプレッドは9pips、当時の最安が2.8~3.5pipsだったことを考えると、かなり高い部類でした。
その後、業者はナロースプレッド競争に突入し、GBP/JPYで2pipsをきる業者もザラです。今は吉田はGBP/JPYを触らないので、細かいところまで抑えてるわけじゃないですけど。
ナロースプレッドを売りにしているところは、たいていECN/STP方式で、機械的に注文を処理する方式を採用してます。業者に質問すると、インターバンクに直接注文を流してるという話ですが、インターバンクは細かい玉(10万通貨未満=10枚)の注文は受けないので、それを自分のところでまとめる必要があります。この時にタイムラグがあれば、スリッページが発生する可能性があります。もっとも、自分の注文を受けてくれる人が、自分の提示レートの近くにいないほうが、大きなスリップは発生しますが。
スプレッドが他所の業者より高く設定している所は、スリップを最小限に抑えますが、あらかじめスリップを想定した分をスプレッドに盛り込んでおきます。
注文が通るか通らないか、スプレッドが何故広がるか、注文は何故すべるのか? これらの問題は、すべて「相対取引」に起因しています。
売り手と買い手がいてはじめて成立
自分がいくら「1000枚買いたいと思っても、1000枚売ってくれる人がいないとトレードが成立しない」。これがマーケットの大原則です。
ここで意識しなければならないのが板情報。
これです。板情報は業者によっては提供しているはずですが、ほとんどの人はあまり馴染みがないかもしれませんね(株をやっている人には常識だと思いますが)。
板を見ると、Bid(売り)とAsk(買い)の注文が、どのレートにどのぐらいの数量あるのかを確認できます。1.0Mは1 Million=100万通貨=100枚=10ロットです。
上の図だと、Bid(売り板)が合計 52M、Ask(買い板)が合計52Mで拮抗してます。実際に顧客に提示されるのはベストオファーといわれ、売り買いで最も近いレートです。売りは99.864円に2.0M、買いは99.869円に3.0Mです。
ベストオファーでスリッページなしで約定できる注文数量は、売りが2.0M、買いが3.0Mということになります。
ここで、最初の話に戻りますが、2000枚(20M)や3000枚(30M)の注文を通そうとすれば、いま見えている買い板や売り板の注文をごそっとかっさらう必要があります。ベストオファーのレートには、20Mもないので、スリップしながら売り板、買い板にある注文数量を確保しながら、必要な量の注文を通していく形になります。99.869円で買いを持ちたいと思っても…
99.869円で買い注文、2000枚(20M)
99.869円 3.0M (残り 17M)
99.870円 8.0M (残り 9M)
99.871円 9.0M (残り 0M)約定レート 99.869円~99.871円(+0.2pips)
最終的には0.2pipsのスリップが発生します。
これが、ノースリッページをうたっている業者なら、あらかじめ滑るのを想定してスプレッドにその分を盛り込んでおきます。当然、売り買いは自分一人だけでやるわけではないので、同時に注文する人が他にいれば、その人達とも板を食い合うのでもっと滑る可能性もあります。
大口注文をきちんと滑らず受けてくれる業者として、デンマークのSaxo Bankがあります。こちらの営業担当に電話で確認したところ、「メジャー通貨で2000枚までなら注文を受けます。ただし、スプレッドはワイドになります」と言われました。
つまり、自分の都合のいい条件で、注文は通らない
ということですね。
まとめ
どの程度の数量の注文を通すか? スリップは許容するか? スプレッドは?
この問題は、自分のトレード戦略やスタイルにもろに影響します。
師匠の為替和尚のように、1pipsを抜きに行く勝負をする場合、
スリップやワイドスプレッドは論外です。
でも、デイトレやスイングをしている人だったら、多少は条件が緩くなりますね。スイングだったら、そもそもスプレッドはあまり意識しないかもしれません。
今日の記事は、インターバンクの仕組みを理解する上では非常に重要なことです。その制限の中で、どう折り合いをつけていくかがポイントになると思います。
ちなみにデモトレードは練習には適さないという議論において、一番問題になるのは、デモの注文数量が通るか否かだと吉田は思ってます。
デモでは、バシバシ通っていた注文も、ライブではスリップしたり、約定しない可能性もあります。10枚やそこらなら差はないとおもいますが、それ以上の数量は結果に違いが出るはずです。
脱線しましたが、
マーケットは相対取引。
自分の都合だけでは動かない。
2000枚OVERの注文が通るか通らないか、、想像したこともなかったので参考になります^^
FXの板情報はあまり参考にしたことがありませんが、、板があれば見せ玉とかもやっぱりあるんでしょうか??
株だと、注文前に板は当たり前のように見ていましたが、、メジャー銘柄であれば個人で出す規模の注文が通らないことはまずないですし、ちょっと規模の小さい銘柄(東証一部でも)だと見せ球やら不可解な注文やらが多くて、飽くまで参考程度にしか見ていなかったですね。。