あなたは2mのハードルを根性で超えられるか?

2013/10/06 カテゴリ:プロトレーダーの思考
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたは2mのハードルを根性で超えられるか?

世界一の投資家ウォーレン・バフェットは言った。

成功できたのは、飛び越えられるであろう30cmのハードルを探すことに精を傾けたからであり、2mのハードルを飛び越えたからではない

ウォーレン・バフェットといえば、個人資産の世界ランキングで常にトップクラスの投資家です。この人が自分の成功について言及した言葉ですが、あれだけの実績をたたき出している人だけあって、その言葉には重みがあります。


これは言い換えると、「今の自分にできることを探す」と言えますね。
子供の頃は、家の壁でさえ崖のように感じられ、その先にあるものが見えませんでした。でも、背が伸びるに従って、壁の向こう側が見えるようになりました。


自分にとっての30cmのハードルは、いま乗り越えられるハードルであり、自分が大きく成長すれば、2mのハードルも30cmに感じられるようになると思います。


先日、師匠の為替和尚が、うちのカミさんにトレードのワンポイントレッスンをしました。これがウォーレン・バフェットの言葉とリンクしてるのです。

※ブログランキング参戦中。よかったら応援してください

 

師匠のワンポイントレッスンで

前回の記事「エントリーの鉄則は人の不得手だった!?」で、吉田がトレード指導をしているカミさんが、いろいろと壁にぶち当たって苦しんでいることを書きました。


うちのカミさんの問題点を整理すると…

  • エントリーポイントまで待てない
  • 待てないからローソク足の急な動きに飛びつく
  • 飛びつきで持ったポジションが損切れない
  • 利益の出ているポジションはチキン利食い

えー、要約すると

見事なまでにプロスペクト理論の罠にハマってるわけです

プロスペクト理論についての詳しい説明は、公式サイトの記事「あなたが勝てない理由。プロスペクト理論の罠」を見てくださいね。


前回の記事でもコメント頂きましたけど、やってはいけないと言われてることをトレードの現場でことごとくやっちゃうのが人間です。
うちのカミさんもはっきりとトレンドが出ている局面でチャートを開けば、3戦3勝なんて成績を叩き出しますが、ちょっとむずかしい局面だとプロスペクト理論の罠に陥ります。


でも、まぁ人間ならしょうがないですね。
だからこそ、FXでは95%の人間が負け組になるわけですし。


教科書通りの対応なら、「損切り出来ないのはメンタルの問題だ!」、「ルールを守れ!」、「チキン利食い厳禁!」といって、最終的に竹槍でB29を落とすがごとく精神論になるわけですが、師匠の言ったセリフはひと味違いました。

 

損切りできんなら、かまへん
チキン利食いもしゃーない!

えぇっー! って感じですね。
FXに限らずトレードの世界では、「トレードルールを守る」というのが絶対視されてます。吉田も師匠もその点は認めていますが、ここでちょっと思い出してください。


たいていの人は、元旦にその年の抱負を誓いますね。口外するかどうかは別で。吉田もその年に達成すべき目標を年末から年初にかけて立てます。
これはいわば、「自分との約束」です。例えば…

  • 今年こそはたばこをやめる
  • トレードで月10万以上稼げるように勉強しよう
  • 毎日30分運動をするようにしよう
  • 今年こそは本気だす!

誓う内容はなんでもいいです。では今は10月。今年も残り1/4です。
この段階で年初の抱負はどれだけ達成できてますか?
「誰々と何時に待ち合わせ」のような達成しやすい約束は守れても、
自分の習慣を変えるような約束はなかなか達成できないものです。


「トレードルールを守る」という「約束」がなかなか達成されないのも同じで、相場の世界はプロスペクト理論が支配するので、これに打ち勝つのは難しいのです。

30cmのハードルと2mのハードル

相場の世界で生き残るには、「損小利大」を達成する必要があります。この字面だとすぐにリスクリワードに結びつきそうですが、そうではありません。とにかく、利益よりも損失を抑えることができれば、損小利大は達成できます。


一番簡単なのは、損失が小さいうちに、損切りすることです。
でも、浅い損切りラインは、エントリーポイントを本当に点で当てないと、逆に損切り貧乏になってしまう可能性があります。極端な例ですが、1pips逆行されたら即損切り。1pipsの損で切れれば、スプレッドを入れても3pips以内なので確かに1回あたりの損失は小さくなります。


その代わり勝率は落ちると思うので、結果的に小さく負け続ける損切り貧乏になるのです。


師匠は「FXは勝っても負けても自分を攻めるゲームだ」と表現します。
例えば、利益が出た。もうちょい伸びそうだけどとりあえず利確。でも利確をした瞬間にグイーとローソク足が伸びる。

「しまった! もっと持ってればよかった!」
(チキン利食いの後悔)。


あるいは、損失が半分まで戻った。もうちょい耐えれば、建値付近までは戻るだろうと、損切りせずに耐える。そしたらいきなり暴落して損失が2倍5倍。

「やっぱり、さっきのところで損切りしてればよかった」
(損切りできない後悔)。


どちらもありえるケースですね。


でも、プロスペクト理論で証明されているように、上記の行動は人間ならしかたがないことなんです。これを精神論で抑えるのは、結構無理があります。
ウォーレン・バフェットの話にたとえるなら、2mのハードルを越えようとして努力して感じかな? 必死に練習すればいつかは超えられるかもしれませんが、2mのハードルを超えられるようになるのは並大抵の努力じゃすまないことはわかります。


損切り出来ない。どうしてもチキン利食いになる。では、どうすればいいか?
師匠が言った言葉は

損切り出来ないなら、それでかまへん。では、損切りしないで済む方法を考えましょう。チキン利食いもそうや。どうしても目先の利益を確保したくて、まだ伸びそうだけど、利食いがしたい。ほんなら半分だけ利食っておいて、あとは放置してもいいねん。そうすれば、最悪建値まで戻されてもチャラで逃げられる。

つまり、自分に乗り越えられそうな「30cmのハードル」を探すことの提案でした。


自分にとってなにが2mのハードルで、なにが30cmのハードルなのか。まず、これを見極めることが大事だと思います。


吉田が取り組んでいる自動トレードも、一度作ればその通り動きますけど、望みどおりのものを作るまでが大変。最初からプロトレーダーと全く同じ判断をする自動売買を作ることは、2mのハードルなのです。
だから、まず、今の自分にできる30cmのハードルを探すところからはじめるのは、裁量トレードと同じですね。


裁量トレードの場合、まず自分にできないところ(損切り出来ない、ローソク足の急な値動きに飛びつく、チキン利食いなど)を見つけ、それを乗り越えるための30cmのハードルを探すべきです。


その時点でできるベストを尽くし、乗り越えられる30cmのハードルを確実に越えて行けば、その時は2mに感じたハードルもいつか30cmに感じられる日が来ると吉田は考えます。

昔のパソコンのメモリは64KBもなかったヨ。
今は写真どころか、動画再生もできるネ。

ブログランキング

この記事に対するコメント

5 件のコメント

  • 吉田(同姓です^^)
    2013/10/10 07:24

    困難は分割せよ。
    千里の道も一歩から。。 よく言ったものです。

    しかし時間が経つのは早いですね。
    今年の初めには、「なんとか今年中に稼動まで!」と意気込んでいても、
    もうあと残り1/4年。今年中の稼動を目指すならば、システムはほぼ出来上がり、最後のバグ取りやら試験運用をしていなければいけない時期です(笑)

     2mのハードルならまだいいですが、立ち向かっているのがそもそもハードルなのか、無限の高さの壁なのかすら見えていない状況ですが、越えられると信じて目の前の課題を一つ一つこなすしかありません。。

     そういえば昔のパソコンはOSもアプリも全て一枚のFDDに入っていたんですよね^^ 漢字変換のたびにFDDがガガッ!と鳴っていました。。
     FDDも文字どおりペラペラでしたし(笑)
     ここまで技術は一歩ずつ進んだわけですし、10年後にはさらに変わっていることだと思います。

     話は脱線しますが、最近のパソコンの進化はなにか行き詰っているような気がします。。黎明期では、カセットテープ(ピーヒョロロ)からFDDになり感動し、漢字が打てて感動し、HDDの登場で容量&便利さに感動し、GUIに感動し、インターネットの普及に感動し、、、(笑) わくわくしたものです^^
     Windows7にしてもWin8にしても、「ここが変わりました!」って言われても、「・・・・それで?」という感想しか出てきません。。 やり方は違うけどそれWin98でも実現できてましたよ。。というつっこみ所満載なのが^^(もちろん9x系からNT系になったときの安定性には感動しましたが)
     XPからカーネル作り直しておいてそれだけですかっ! という心の叫びはMSには届かないのかもしれません。。。
     (もちろんMSも商売ですから無理にでも新OS作って売らないといけないのは分かりますが。。)

  • 2013/10/10 10:23

    > 2mのハードルならまだいいですが、立ち向かっているのがそもそもハードルなのか、無限の高さの壁なのかすら見えていない状況ですが、越えられると信じて目の前の課題を一つ一つこなすしかありません。。

    わかります。
    吉田も師匠も、自動トレードシステム開発がここまで長引くとは思いもよりませんでした。最近は開発奮戦記を記事にしてませんが、想い起こしても時間がかかっている部分は、相場をどう捉えるか、プロトレーダーの思考を自分自身がどう理解するかという部分でした。
    たぶん、システム自体を作ることは、さほど工数の要らない部分なのだと思います。それ以上に、検討し思案する時間がべらぼうにかかります。

    >最近のパソコンの進化はなにか行き詰っているような気がします。。

    その通りですよ。PCのスペックは10年近く前に、日常作業をこなすレベルには問題ないレベルまで到達してます。
    吉田はi7 2600Kを使ってますが、こいつらがフルで仕事をするのは、ベンチマークをかけている時だけです。CPUリソース駄々余りです。

    ここ数年のPCの進化を見ればわかりますが、革新的な変化はなく、スペックアップにとどまってます。まぁその分、昔では考えられない高スペックのPCが10万程度で手に入るのでありがたいですけどね。

    大学時代に購入したPCは定価100万もしました(笑)。

  • 吉田(同姓です^^)
    2013/10/11 01:17

    >それ以上に、検討し思案する時間がべらぼうにかかります。

    この思案というのがクセモノですよね。ただ時間をかければ分かるというものでもなく、「ひらめき」といいますか、ダメな時は何十時間考えても進まず、とある一瞬で「あ、そうか。」と。 もちろん無駄に見える思考の繰り返しがあってこそですが、それがいつなのか、そもそもひらめきに達することが出来るのかも分からないまま暗中模索を続けることに。。

    >こいつらがフルで仕事をするのは、ベンチマークをかけている時だけです。
    2600Kの4コア8スレッドを個人がフルに使うといったら、動画のエンコか重いゲームくらいしか思い浮かばないですね^^

     そろそろPCを更新しようと思い、試しにメモリ使用量を見てみました。
    普段使っているソフトを片っ端から起動してデータを開き、IEもいくつも開き、スカイプも立ち上げて、、、 でも使用量1.5GBに届かず(笑)
     メモリは2GBもあれば十分なようです。。
    ハイスペックなPC買おうと意気込んでいたのに一気に萎えました(笑)
    最近の16GBもメモリ積んだPCって何に使うんでしょうか??
     コアもいくつもあってもソフト側が対応してないので1コアしか使ってくれません^^

     それにしてもPCで100万とは・・・。 そのPCの数千倍(かそれ以上)の性能の”電話”を持ち歩くようになるとは、恐ろしい時代です。。

  • 2013/10/11 13:40

    ロジックを開発する時って、かけた時間では測れないんですよね。
    机の前でウンウン唸ってもまったく出てこなかったり。
    一番しんどい作業です。

    PCのメモリはビデオ編集やCAD、Photoshopなどのソフトを使ってないと、有り難みが分からんです。
    吉田が一番使ったのは、SQL Server(Expressじゃない奴)を稼働させたときは、限界までメモリを使いきってくれました。

    今のPCには16GB載せてますが、8GBをメモリとして使用し、残り8GBはRAM-DISKにして一時的な作業ファイルをおいてます。

    >それにしてもPCで100万とは・・・。 そのPCの数千倍

    はい、NEXのPC-H98シリーズです。ハイレゾ対応で、当時としては画期的なPCでした。購入時は32万もしました(笑)。
    今32万だせば、モニタも6枚セットで買えます。

  • ゲルググ
    2013/10/12 03:45

    こんばんは

    指標発表の時間になり珍走団がコールしだす///えッ!?指標知ってるの?
    チャートのローソクも一緒に暴れだす\\\え゛ぇ゛。。。
    しかしボリンジャーの枠の中・・・
    彼らもまた我が町の中・・・
    自分の枠を知っているようでした。

    すみません ツイッターでつぶやけって!コメントでした。
    あまりにもナイスタイミングだったので・・・