検証してますか?でも検証の落とし穴にご注意!
みなさん、検証したことありますか?
FXのように、確率でモノを考えないといけないゲームでは、検証作業は避けて通れません。検証をしないで実践に投入するということは、それだけ博打に近くなり、負ける確率は検証をしている人に比べて高くなります。
ところで検証には2種類の意味合いがあります。
(1)自分のルール、戦略(ストラテージ)を検証する
多くの人が検証と聞いて思い浮かべるのが、自分のルールや戦略のパフォーマンスを調べる検証です。これの究極系がEAなど自動トレードに落としこんで、勝率やプロフィットファクターを調べることですね。
(2)マーケットの特性を検証する
わかりやすい例だと、ボラティリティの高い時間帯を調べたり、通貨ペアごとの1日の平均値幅を調べる検証です。
この種の検証はあまり積極的には実施されず、誰かが検証したデータをそのまま利用しているケースがほとんどだと思います。しかし、マーケットの特性を理解しているかどうかは、成績に直結しますね。
さて、検証には2種類あると理解してもらったところで、冒頭の話に戻ります。検証をしている人に比べ、してない人は負ける確率が高くなりますが、やり方によっては検証をしている人のほうが、大きくパフォーマンスを落とすこともあります。
実は検証には大きな落とし穴
があるのです
数値に合わせたトレードをしてはいけない
検証には2種類の検証があります。
- (1)自分のルール・戦略の検証
- (2)マーケットの特性を調べる検証
どちらも検証作業であることには変わりないけど、そこから得た結果をトレードに利用するには、注意点があります。
(2)マーケットの特性の検証については、得られた検証結果がその時たまたま発生した現象なのかどうか。つまり、普遍性の問題。
例をあげて説明しますね! 例えば、NY市場の後場(日本時間 2:00から5:00の間)は、ボリバン2σにタッチして戻る確率が98%ある。通常よりも戻る確率が2%高いという検証データが得られたとします。
通常よりボリバンがワークするということは、この時間帯は逆張りでイケル!
と考えるかもしれません。でも、たまたまそうなっているだけかもしれない。ひとつの結果だけをうのみにするのは、非常に危険なのです。
(統計学的には、検証結果がでたら検定しないといけませんけど)
では、(1)自分のルールの検証はどうか?
一発で結果が出たルールは、たまたま検証期間のルールがワークしていただけなのかをキチンと調べる必要があります。
また、ルールを改良する場合にも、数値を見て「この部分を改良すればもっとパフォーマンスはあがる!」と考えると、「トレンドフォローのジレンマ」に陥ります。
マーケットの特性に合わせた
トレードはいいが、数値に合わせたトレードはご法度!
数値に合わせたトレードとは?
「数値に合わせたトレード」をひとことで説明すると「検証で得られた結果をもとに、ロジックを考える行為」です。
先の「NY市場の後場のボリバン2σ」を例にとると、たしかに検証の結果、その時間帯のボリバンは他の時間帯に比べると、2σがワークすると分かったとします(前提)。
数値に合わせたトレードの場合
数値に合わせたトレードの場合は、「それなら、その時間帯は2σタッチの逆張りがいける!」と考え、それを裏付けるデータばかりに着目するようになります。最初に見つけた小さな優位性を正当化する視点に切り替わっているのです。
マーケットの特性に合わせたトレードの場合
この「NY市場後場のボリバン2σ」の結果をマーケットの特性と考えるのであれば、なぜこの時間は他の時間帯に比べて2σがワークしているのかを頭で考える必要があります。
師匠の為替和尚は、よく「まずは理屈に落とし込め!」といいます。
NY市場後場のボリバン2σが他の時間帯よりもワークしているのは、
あくまでも現象であり、そこには理屈があるはずです。
例えば、為替の場合、東京、ロンドン、ニューヨークは世界の3大マーケットと言われています。しかし、取引高で見るなら、ロンドン市場が圧倒的です。
引用:Forex.com (原典 Bank for International Settlements
”Central bank survey of foreign exchange and derivatives market activity in April 2010” )
ニューヨークの後場(2:00~5:00)は、世界最大の市場であるロンドン市場が終わったあとです。ニューヨーク市場がロンドンについで2位になってますが、実際にはロンドンとニューヨークはかぶります。
大きな取引高は、このかぶっている時間帯であることがほとんどです。
「NY市場後場のボリバン2σ」が他の時間帯よりもワークするのは、最大市場の取引が終わり、取引量の大幅な減少が背景にあるのではないか?
これが仮説です。これをもとに仮説を裏付ける検証をしていきます。
両者の違い
双方ともに、裏付けの検証を行うので、一見するとどっちも同じことをしているように思えますね。
数値に合わせたトレードの場合は、最初に見つけた数値の優位性を利用するために、それを正当化するデータをかき集めます。
これの極端な例が、検証結果が良くなるようにパラメータを調整するカーブフィッティングです。
それに対して、マーケットの特性に合わせたトレードの場合は、得られたデータを頭で考え、どうしてそういう数字が出たのか「仮説」をたてます。
仮説なので、途中で反するデータが出てくるかもしれませんが、それも冷静に受け止めます。
両者をひとことでまとめると…
- 最初の数字に最適化をかけるのが、「数値に合わせたトレード」
- 検証数値をひとつの現象ととらえ、その背後にあるものを理屈に落としこむのが「マーケットの特性に合わせたトレード」
検証をどうトレードに活かすか?
吉田の場合、最終目標はブログのタイトル「FXで完全機械化は可能か?」です。つまり、マーケットの特性をきちんと理解した上で、それに適したルールを策定し、自動トレードで利益を出すことです。
そのための検証作業をこれまでしてきました。
検証はしないよりした方がいいですが、この記事で取り上げたように、数字に一喜一憂するのは良くないことです。
大事なことはまず、「きちんと理屈に落としこむこと」と「検証結果と現実のギャップを認識すること」です。
特に検証結果と現実のギャップの認識は大事です。
検証データが、自分の実際のトレードの実感とずれている場合は、違和感を感じるはずです。その場合、まだ見えていないものがあるはずなのです。
師匠もたびたび、「検証の重要性」を説きますが、検証結果に振り回されることなく、上手に検証結果と付き合っていってください。
MT4でEAをいじり再開して8か月あまり。気が付くとEntry、決済のロジックを考えているより、どうすれば検証・分析しやすいログが取得できるかのロジック考えているほうが長かったりします。