奮戦記:ヨコの流れを読み取れ!
前回のあらすじ(戦局を定義せよ!)
打ち合わせを兼ねた忘年会の後、師匠(為替和尚)は吉田に
その年最後の宿題を出した。
宿題の内容は「押し目、ドテン、レンジブレイク」の3つのパターン
についてそれぞれ30枚ずつ抜き出し、パーフェクトオーダー
を定義せよだった。
パーフェクトオーダーとは、いわゆる鉄板パターンを指し、まずは4つの戦局をチャートの形として抜き出すことを命じた。吉田は2日間かけてチャートパターンをキャプチャして整理したが、
その先が見えてこない。この作業を通じて強く感じさせたのは、
やはり「ヨコの流れ」をどう定義づけるかだった。
トレンドをどう定義するか? 現在の相場の戦局をどう判断するか?
結局ここに決着を付けなければ、先には進めないことを再認識させられた。
機械には終わったチャートの判断もできない
年が明けて2011年1月某日。
師匠と吉田はスカイプで会議をしながら唸っていた。
吉田「年末に言われたチャートパターンの抜き出しは
やってみたものの、それぞれの戦局をどう判断していいものか…」
師匠「目で見れば一目瞭然なんやけどなぁ」
師匠は切り抜かれたチャートパターンを見ながらつぶやいた。
吉田「ある程度FXに知識のある人であれば、チャートの切り抜きを見て瞬時に勘所を見抜きますよ。師匠は当然のことながら、吉田もこのチャートはレンジだ、これはドテンだって判断がつきます」
師匠「……。あのな…」吉田「いや、言わんとする事はわかりますよ。例えばトレンド相場なら
これは押しって判断出来ますよ? でも、そもそもトレンドをどう定義するのか?」
師匠「トレンドはSMAとかEMAとか移動平均線じゃあかんの?」
吉田「もちろん、それでいいと思いますけど、単に長短期の移動平均線を並べて、その順番を見るだけではトレンドを定義しきれないんですよ」
師匠「わかるで。それは去年やったし」
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吉田「だから、押し目を判断するにはまず、今はトレンドが発生していると機械に判断させないといけないわけです」
師匠「プログラムのことはよう分からんからあれやけど、ローソク足実体が移動平均の下にいるとか、MACDのヒストグラムが赤の時は下向きのトレンドって判断じゃアカンの? 最近入れたパラボリックSARの抜けでもいいと思うんやけど」
吉田「もちろん、それでも判断出来ますけど、逆にトレンドがないときは、ダマシのシグナルだらけになるんですよ。レンジ29番を見てみてください」
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師匠「ほんまやなぁ。こういう時をどうするかやな」
吉田「押し目はレンジブレイクしてからでないと、判断しないとすることもできますけど、それならまず、レンジ相場をどう定義するか?
あと、どうなったらレンジブレイクと判断するか?
やはり、基準が必要です」
師匠「4つの戦局の考え方は、わかってるやろ? それをどうにか結び付けられへんの?」
吉田「今回切り抜いたチャートパターンにしても、あとから見てトレンドが発生しているのがわかりますけど、右端で判断できるかといえば、難しいと思います」
師匠「なんで? 中には判断に難しいところもあるけど、俺が実際に右端で判断してトレードしてるんやし、いけるやろ?」
吉田「たぶん、処理している情報量が違うんだと思いますよ…」
師匠「というと?」
吉田「師匠があれだけのモニタを必要としているのが答えです」
師匠「確かに1枚のチャートだけで判断することはないし、
1枚のチャートでも色んな所見てるなあ」
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吉田「そこなんです。今のところ、チャートの右端から2,3本のローソク足の情報しか読み込んでないですから。複数の時間足のチャートも見てないし」
師匠「なんとか、マルチタイムフレームとかでできひんの?」
吉田「マルチタイムフレームは確かに別の時間軸の情報を持ってこれますけど、あくまでも見ているチャートは1枚だけなんですよ」
マインドマップやCandleインジケータなどにより、師匠のトレードは体系的に整理されつつあるが、依然として「人間と機械が見ている世界の差」が
根本的に違うことがそこから先へ進むことを困難にしていた。
タテ・ヨコ・ナナメの概念、4つの戦局パターン、意識される1時間の節など裁量トレードをするには、情報が体系化されてきたのを2人は感じていた。
しかし、これを機械に処理させようとなると、途端に煮詰まる。
機械はチャートを点でとらえ、人間はチャートを面で捉えるためである。
この図形認識の能力の差が大きな差をつけていた。
しかも、トレンドを判断するにしても、何をもとにトレンドと判断
しているかも不明確なままであった。
結局、この日の打ち合わせは結論も出ず、とりあえずお互いに懸案事項、
宿題としてしばらく検討することになり終了した。
FXを極めた!
裁量ではかなり明確になってきたが、これを自動トレードのルールにすると、とたんに先に進めなくなる。前は見えているのに、見えない壁に邪魔されているような感覚だ。
あれこれとチャート上で考え、また振り出しに戻るといった悶々とした日々を送っていた吉田のところに、師匠から1通のメールが届いた。その文面には
FXを極めた感じ♪ 川の流れに身を任せて。
一子相伝の無想転生、奥義を極めたで!
とうとうイカれたか? と思わずにいられない、わけの分からない文章である。しかし、冗談にしても文頭にある「FXを極めた感じ」という文章には妙に目を引かれた。
あと、無想転生とは北斗の拳の奥義だろうか? あと「川の流れ」とは?
これらふたつがどう結びついているのか?
後日、意味のないように思えた単語に大きな意味が隠されていたことを
思い知る。
同時に違う時間足や違う通貨ペアの情報が読めないというのがMTの仕様だとしたらだいぶ厳しいですね。。
最近、機械にチャートを読ませようとすること自体だいぶ無理があるのではないかなと思うようになってきました。
そもそもグラフの類は人間が目で見て大きい、小さい、高い、低いを判断できるように数値(元データ)を「人間のために」図形化するツールですので、数値の取り扱いが得意な機械にはそもそも無用の長物ではないかなと。
例えばイタリア人が平家物語を読めるようにとイタリア語に翻訳したものを、伊語が分からない日本人が伊語辞書片手に頭をひねりながら読むようなもので、日本人なら始めから原書読めばいいだろうという話になりますよね(笑)
チャートから人間が読み取る内容を機械は直接数値データから導きだしても結果は一緒で、その途中経過まで人間を真似ようとするから余計にややこしくなっているのではないかと考え、いろいろと方策を試しております^^
数値を図形化してパターンを読む人間に対して、機械には高速な数値演算と優れた統計的分析手法があります。ただそれだと、移動平均やらRSIやらと何が違うのかという話になります。
現存のテクニカル指標と呼ばれるものは、あくまでも統計学的観点から数式を値動きに当てはめて説明しようとしたもので、分析手法優位の考え方で出来ていると思います。
指標を値動きにあてはめて過熱だ、売られ過ぎだ、反発する、トレンド継続だ、などを決めているもので、それらをいくつ組み合わせたところで根本が指標本位であることには変わりがありません。
今必要としているのはそれではなく、人間がチャートを見て得る情報に近いものを元データから読み取れないか、という問題の答えで、人間のトレード手法優位のものです。人間の売買手法が第一にあり、その人間の認識能力をエミュレートする手段としてどのように統計的手法を利用出来るのか、という考察はあまり一般に広まっていないように思えます。このあたりに攻めどころがあるのではないかと考えているところです。
(不特定多数から見えている場で具体例を出すのは控えますが^^)
・・・ところで、いつも疑問に思うのですが、為替和尚様の11枚の画面は一体何台のPCに繋がっているのでしょうか??(笑)
(2画面×5台+メイン1台の6台くらいでしょうか。。 )
川の流れに身を任せて。
川=相場の暗喩・・・と考えるのは安直すぎますね;;
続きが気になります!
(駄文長文失礼いたしました・・)