あなたは知ってる? 自動と裁量トレードの差

2013/04/25 カテゴリ:数値化, 機械と人間の差
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現在、春の自動トレード開発強化期間です!

自動と裁量トレードの差
師匠(為替和尚)が、飲食店の開店準備でまるまる3ヶ月間時間を取られてしまい、その間の自動トレードの開発は滞っていました。


ちょうど、吉田も急ぎの仕事があり、お互いに自分の仕事に専念しましたが、4月から双方のかかえる仕事が一段落したこともあり、自動トレード開発が本格的に再開です!


週に1度は自動トレードの会議がありますけど、その中で常に話題になっているテーマがあります。それはズバリ…

裁量トレードと自動トレードの差

です。ウチのブログのタイトルの「FXで完全機械化は可能か?」を地で行く内容で、真剣に議論すればするほど、この問題がクローズアップされます。


吉田と師匠は自動トレードシステム開発に5年ちかく取り組んでるんですが、やっぱり最終的には機械と人間の差に戻ってきてしまうのです。


では、毎回問題になる「裁量トレードと自動トレードの差」とはなんでしょう? 続きを読む前に、ちょっと考えてみてください。

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自動と裁量トレードの違いは?

 

まずは結論から。

裁量トレードと自動トレードの最大のちがいは

人の判断はあいまい(アバウト)

だってことです。認知の違いといってもいいかもしれないですね。


人がトレードするときは、チャートを見ます。個人差はありますが、
エントリーの判断にかなりゆるい部分があります。
これは別に毎回ルールが異なるとか、微妙に違うということを言ってる訳じゃないですよ。ルールを毎回かえるは論外。

 

一方、機械がトレードをする場合は、必ず数量化して、数値で判断を下す
必要があります。自動トレードシステムを作ったことがある人は経験があると思いますけど、判断を容易にするために、インジケータやオシレータを利用していることが多いと思います。


インジケータやオシレータは、人間が使ってもわかりやすいものですが、
これに頼りすぎると、相場の状態によってはワークしなかったり、
だましのシグナルがでまっくたりします

それで、あわくってフィルタをどんどん追加して、
シグナルの発生率を下げる。


でも、これは正しいか? うーん、ちと違うかな。


フィルタを追加しなければいけないのは、狙っている波(トレンド)をきちんととらえていないということです。


機械と人、同じチャートを見ても人間の認識にはアソビがあります。
このアソビが曖昧さの正体です。

認識のアソビとは?

たとえば、サポレジを判断するとき。同じような価格帯に中指が並んでいて、その付近で跳ね返されるのを人がみると、その価格帯の付近に堅いサポレジがあり、そこを抜けたらブレイクだ! と判断できます。

認識のアソビ
※クリックで拡大出来ます。

 

しかし、機械に同じチャートを認識させようとすると、ぴったりの価格であれば同じサポレジだと判断できますけど、わずか1pipsずれていただけで、違うサポレジだど判断されます。

 

その他の例としては、人はチャートの形をみれば、アップトレンド、ダウントレンドを判断できますね? また、押しと戻りのポイントもチャート上から簡単に拾うことができます(少なくとも終わったチャートでは)。

 

では、機械はどうか?
機械はローソク足の形やトレンド、押し戻りを人間のように認識できません。
たとえば、移動平均のようなものを利用すれば、トレンドは判断できるかもしれないですが、それでも人間と同じように認知させるのは困難です。


機械にトレンドを判断させようと思えば、移動平均など容易に数値化できるものを使用します。しかし、それでも人間の認識とはズレがあるので、複数の移動平均線を重ねて、その位置関係で無理矢理トレンドを認識させようとします(でも、これも人間の認知からはどんどん離れていっちゃうんだけどね)。

目で見た映像を頭のなかで処理
して、アバウトな判断を下す

人はいとも簡単にこなすけど、これはかなり高度な処理なんです!

 

機械に判断させるには?

機械には人間のように、認識にアソビをもたせることは困難です。
機械に何かを判断させるときには、数値に置き換える必要があります。
少なくともノイマン型コンピュータを使っている限りはね。


でも不思議なことがあるんです。FXに限らず相場の世界は、もともと数値だけの世界だったわけです。気配値。BidとAskの価格がすべて。


しかし、気配値だけでは相場の買い時と売り時が判断できないので、人間が簡単に判断できるように作られたのがチャート(ローソク足など)なのです。


みんなが目にするチャート上のローソク足も、もともとは単なる数値。
これを四本値という数値群にまとめ、一目で判断できるようにしたのが
ローソク足でありチャート。


つまり、相場の世界はもともと数値が支配していたのを、人間が図形(チャート)の世界にしてしまったわけです


人は数値だけでは、よほど数字に強い人じゃないと見ただけで判断できないけど、これを図にするとかなり敷居が低くなる。


機械に判断させるには、数値を図置き換えたチャートを、ふたたび数値に戻してあげる必要があるわけです。とはいえ単純にすべての四本値をそのまま読み込ませても、機械には判断が難しいでしょうね(その前に作る側がチンプンカンプンになりますけど)。


人間でも無理でしょう! 試しに明日から、四本値だけをみて売買判断しろと言われたらどうしますか? 少なくとも吉田は無理です!

 

ではどうするか?

単純化するのです

チャート上であなたが重視しているものに近い形に、
数値を単純化するわけです。


たとえば、流れを単純化したいのであれば、オシレータを使うのものひとつの手です。オシレータは計算式によりチャート上の動きを単純化しています。

あれ? でも、インジケータやオシレータに頼りすぎては
駄目って最初に言わなかった?

いいました! ただし、ここで言ってる単純化のためにオシレータを使うのと、チャートの数量化のためにインジケータとオシレータを組み合わせることは意味合いが違いますよ。


さて、そろそろまとめます。
裁量トレードと自動トレードの差は、人間と機械の認知の差からきてますけど、これを単純な数値やモデルに置き換えることで、機械でも判断できるようになります


問題は、何をどれに置き換えて、どう判断するか?
完全機械化への道は遠いですね。

人も非効率的な言語を捨てて、0と1(機械語)だけで判断すればいいのに!

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この記事に対するコメント

4 件のコメント

  • BO2
    2013/04/25 19:23

    それでも機械は人間より素直なんですよね
    前回の記事で人に教える事より機械は素直に従うんですよね
    機械は支持どおり素直にするしかないんですよね

    機械が反抗したり勝手に判断したり(人工知能?)になったら
    どうなるんでしょう? 機械と会話する時が来るのでしょうか?

  • 2013/04/26 20:39

    BO2さん
    FXの自動トレードシステムの開発は、ヘッジファンドなどが大規模な
    システムを構築してたりしてます。
    当然、人工知能の研究もしていると思うので、そういうこともあるかも
    しれないですね。

    でも、自動トレードシステムの存在はあまり表に出てこないので、原因不明
    の市場トラブルみたいな形になるかもしれないですね。

  • 吉田(同姓です^^)
    2013/05/15 04:42

    私もこのような機械と人間の差を痛感しております^^

    人間のパターン認識力(特に図形類)は半端ないですよね。。
    たぶん相当優秀なプログラムでも4歳児に負けるのではないかと思います(笑) (長女が今4歳で^^)

     一枚の写真をパッと見せられて、それがモフモフの子犬なのか猫なのか、あるいはアルパカなのか、はたまは掃除モップなのか、人間ならすぐ分かりますけど、それを機械にやらせるとなると・・・
     チャートはそれよりは単純ですが、人間がパッと見で分かるようなことでも機械には難しいことが多いですよね。

     目の前にあるチャートを分析して数値化して、、ということも重要ですが、同時に人間の場合は過去の膨大な記憶とのパターンマッチングも(無意識&に超高速に)行っているので、その点をどうやって補ってやるのかという課題もあるかと思います。

     ただ、そもそも人間もチャートを見てはっきりと分かっているわけでもなく、なんとなくのあいまいな部分が多いので、それに対して機械が白黒つけようとして無理が出てくるのは仕方ないような気がしています。
     そのあいまいな部分をどう処理するか、、難しいです!(泣)

     機械の判断は0か1に過ぎないのであれば、人間の脳も細胞レベルでは電圧Orある種の化学物質のHigh/Lowに過ぎないと言うこともできますが、あらためて人間の脳のすごさを認識させられます。
     非常に興味深いテーマですね。

  • 2013/05/15 16:50

    この間、コンピュータが将棋のプロ棋士を負かしたという記事がありました。
    これがある種のヒントになるかと。

    人間も学習による知識の蓄積がないと、チャートを見てもパターン認識
    ができませんから、それと同じですね。

    昔大学の研究室で、友人が車のシルエットによる画像認識の研究を
    していたことを思い出します。