奮戦記:目の前にある危機にどう向き合うか?
前回(大事なのは1日なんぼ稼げるか?)までのあらすじ
驚異的なプロフィットを出すも、インジケータのリペイントが発覚し、
期待通りの数値が出ない。
やはり、相場を完全に読みきるのは無理なのか?これでゴールだと思った先が、スタートラインだった。
後付とはいえ、1日200pipsを計上したシステムの基本的な方向性は正しいと判断した吉田と為替和尚は、問題点の改善に乗り出した。
「トレーディングエッジ」というルールは、師匠が原点に戻り、「作りやすいトレードルールではなく、裁量トレードの考えに近いものをルール化した」ものだ。
シグナルは2段階方式で、1番点灯でエントリー準備、2番でエントリーという流れである。しかし、1番の判断に使っていたインジケータは、直近の1時間の高値安値を表示するものだが、リペイント(あとから書き換わる)の問題が発覚した。
利確ポイントを逆サイドのシグナル点灯で判断していたので、決済と同時に逆ポジションをもつ。1番のリペイント問題を解決しないことには、先に進めないのだ。
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1番のリペイントをどう解決するのか?
あたり前のことだけど、インジケータは終値ベースで計算されている。しかし、未確定の足については、終値が常に変動するため、「過去チャート」を見ている時と、「動いているチャート」では結果が異なることがある。
これがインジケータのリペイントだ
この問題は自動トレードだけでなく、裁量トレードでも問題になる。
過去チャートを見ながら検証した結果、「いける!」と判断した
トレードルールが、いざ実戦投入(フォワードテスト)すると全然良くない結果になることがある。
新しいインジケータを導入するときは、この問題を常に念頭に置いておく必要がある。
「トレーディングエッジ」はまさにこの問題で足元をすくわれた。
師匠(為替和尚)と吉田は、連日のようにスカイプで会議をし、
この問題の対応を協議した。
師匠「なんとか、1番を固定できんのかいな?」
吉田「難しいですね。数式をふくめて洗いなおし、いろいろ実験的な改良をしてみたんですけど、結果は同じです」
師匠「そっか、別のやり方をひねらなあかんか」
吉田「未確定の足を使わないということも検討したんですけど、結果リペイントがかかることには変わりないですからね」
師匠「トレンドが伸びている時は、基本的に高値安値を更新するからな」
吉田「たぶん、ドテンだけなら今のシステムでイケてるんですよ。でも、レンジブレイクで全敗しているって感じですね」
師匠「というと?」
吉田「ドテンってのは、すでにある水準まで高値、安値を更新し終わったあとなので、基本的にリペイントは発生しません。でも、レンジブレイクというのは、何時間も高値安値が狭い範囲にいたので、高値安値は常に更新され、リペイントが発生しまくるんですよ」
師匠「なるほどなぁ、たまたまとれたレンジブレイクがアダになってるわけやな」
吉田「レンジブレイクを捨てればなんとかなるかもしれないですけどね」
師匠「どこがレンジって判断できるん?」
吉田「チャートを目で見れば、すぐにそこがレンジって判断できるけど、機械に判断させるのは難しいですよ。そもそも”レンジ”とは何かっていうところからはじめないと…」
師匠「そやな、あらゆる方向から問題点の解決方法を当たってみよか…」
吉田「そうですねぇ…」
この時のふたりの会話はどことなく、勢いにかけていた。
やはり、一度1日200pipsの利益なんて数字を見てしまうと、それを意識してしまうものだ。
もともと、師匠のスキャルピングは、「1時間に5pipsをとれるところを2ヶ所。それで1日20pipsを稼ぐ」というのを基本にしていた。100枚ばりなので、1日20万というのがベースにある。
そして、口癖にように言っていたのは…
「1時間に5pipsを2ヶ所で10pips、24時間で240pips、勝率7割りとしたかて160pipsは稼がな、組んだ意味はない!」
そこへ来て、「トレーディングエッジ」が200pipsという数字を出したものだから、ふたりとも「鼻息ぷんぷん」である。
神様は乗り越えられない試練は与えない
神様は乗り越えられない試練
は与えない
これも苦しい時に、師匠がたびたび口にしていた言葉である。
この時期の吉田と師匠は、先の見えないトンネルの中を進んでいた感覚がある。だからこそ、言葉で自らを勇気づける必要があった。
1番のリペイント問題に取り組んで2ヶ月。吉田は師匠に2つの提案をした。
- (1) ぶれ幅の許容量を増やすため、ストップロスの水準をあげる
- (2) 1番の判断に、トレンドの概念を加える
結論から言うと、この2つの対策により利益は1/4になったものの、仮対策はできた。しかし、「ドローダウンが大きくなったこと」、「エントリーが遅くなったこと」など、不満を残す結果だった。
師匠「吉田っち、ストップの幅をもう少し縮められへんかな? ドローダウンが前より大きくなったので、安定運用からはちょっと離れたで」
吉田「無理ですよ。結局、準備の1番にブレが生じているので、そのぐらいのストップにしておかないと、かられまくります」
師匠「1日50pipsというのも悪くないけど、あの数字を見てるだけになぁ」
吉田「言いたいことはわかりますよ。でも、精一杯やった結果です」
師匠「吉田っちには、苦労かけるなぁ。俺はプログラム書けへんから、手伝ったることも出来んし…」
「ならロジックの改良をしてくれよ」というのが、この時の吉田の気持ちだった。師匠もそのへんは何とかしたいと考えていたが、プログラマーサイドの考え方と、トレーダーサイドの考え方には依然として大きなギャップがあり、効果的な提案、意思疎通が出来ない状態が続いていた。
事あるごとに、チャートを開いて、相場の考え方や自分がこのポイントでどう判断するかを教えてくれていたが、この2ヶ月はシステムの改良でかなり煮詰まっていた吉田は、イライラが積もっていた。
打ち合わせを重ねるなかで、いろいろな方向性を検討して残ったのが、最初にあげた2つの条件である。
特に「トレンド相場」に弱いという欠点については、(2)の「1番の判断にトレンドの概念を加える」というのが効いたようだ。
しかし、この仕様追加は「ドテンのエントリーが遅くなる」という弊害をもたらした。ドテンのポイントは、早目のエントリーを心がけると、絶対逆張りになる。これが、トレンドフォローの考え方と、真っ向からぶつかるのである。
根本原因の解明へ
ドテンを捕まえるのはほんとうに難しい。
この時期、プロジェクト当初から参加していた「ともワン」が離脱した。
「ドテンを捕まえるのはプロのディーラーでも難しい。ボクは知り合いに為替ディーラーがいるが、ドテンを捕まえるのは無理だとはっきり言っていた。」
これが最後に彼が残した言葉だ。
いい時にはみんな寄ってくるが、風向きが変わると手のひらを返す。
残念だが、これも現実である。
ともワンが離脱し、文字通り師匠と2人だけになったが、やはり相場の根本に向きあわねばならないと、吉田は確信した。
トレンドとは何か?
レンジとは何か?
この2つの課題に取り組むことを師匠に宣言した。
気がつくと、夏が終わり、暦は2010年9月に変わっていた。
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