予期せぬ市場の動きにどう対応する?
「みんなはどうみる、この後の動き」という記事で、要人発言でいきなり
レートが暴落した話を取り上げました。
みなさん、コメントありがとうございます。
お題目がお題目だったので、みんなの考えは一貫してますね。
さて、今回は「リスク管理」がお題目です。
為替市場が24時間オープンしている以上、現実でおこったあらゆる事態が相場に盛り込まれる形になります。為替市場は、ほとんどテクニカルにそってワークしますけど、プレイヤーの思惑によって、前回取り上げた「要人発言による暴落(覆面介入?)」や「指標発表」などにより、突発的な動きが起こりえます。
それ以外にも、戦争や、自然災害などでも、「暴騰」や「暴落」が発生するかもしれないですね。
こういったリスクにどう備えるか。これが今回のお題目です。
急激な値動きの要因の例
まず、どんなものが「急激なレート変動」を起こしうるかをあげますよ。
経済指標
急激なレート変動の代表格といえば、「経済指標」がありますね。
経済指標は「雇用統計」や「消費者物価指数」のように、政府が発表する経済を表す数値です。うちのブログの読者ならおなじみですね。
指標発表は、スケジュールが決まってるので、急激な変動のある時間を知っておくことが可能です。
要人発言
政府の要人などが、経済政策などについて、ショッキングなことをいうと、市場が過剰な反応することがあります。
これは、いつ起きるか、影響度は全くわかりません。
為替介入
政府が自国の通貨をより望ましい方向に誘導するために、中央銀行を通じて大量の玉をつっこむ行為です。
これも時期はまったくわかりません。
以上は、テクニカルを一切無視し、数分間で数十~数百pips市場を動かします。
けっこう厄介者ですね。
このほかにも災害や戦争、テロなどでも急変動は起こりえますが、短い時間で動くものは、まず上記です。
どうリスクと向き合うか?
為替相場は24時間オープンしている上に、影響範囲が大きいため、プレイヤーには政府機関も含まれています。
ヘッジファンドや、銀行などの機関投資家も時には急激な動きを作りますけど、たいていはテクニカルで対応できるレベルの話です。
彼ら、マーケットメーカーの話はまたいずれ!
前回の記事のコメントにだいぶ答えが書かれてますが、それらをまとめた上で、師匠の為替和尚の教えもあわせて紹介したいと思います。
(1)プロテクト注文を利用する
新規注文時に、S/Lや逆指値など、ポジションを保護する注文を必ずセットで実行するというのは、みんなが実行していることですね。
S/Lの注文を流すと、ブローカー側にその数値が流れて、業者によっては「ストップ狩り」にあう可能性もありますけど、「ポジションを保護する」という観点では、一番現実的な対応ですね。
為替和尚の教え
師匠は基本的にストップはおきません。スキャルピングがメインなので、S/Lを入れてる暇がないというのが正解かもしれないですけど。
最短記録として、エントリーから利確まで1秒という記録があります。
ただ、損切りラインは決めているので、そこに「逆指値」をおいたり、S/Lを置くのは正しい対応だといってます。師匠は、ほとんどの場合、損切りよりも「サバキ(玉操作)」で対応するので、逆指値にかかる=両建てというポジションメイクをします。
(2)適切な証拠金維持率をキープするポジションサイズ
最悪100pipsの損失が出ても、退場させられないポジションサイズということです。瞬間的なレート変動はだいたい30~100pipsぐらいです。
いくら瞬間的な動きとはいえ、100pipsの損失が出たら即退場というサイズ設定では、リスクをとりすぎているといえます。
為替和尚の教え
師匠は玉操作を前提としたポジションメイクなので、最悪幅が開いても何とかなるポジションサイズでトレードします。
逆に、資金管理で損失を消す場合、余力を残しておかないとまったく身動きがとれなくなるとも語っています(詳しい方法はちょっといえませんけど)。
余裕のあるポジションサイズとは、想定しうる損失と、ポジションを持つために必要な証拠金から計算する必要があります。
(3)必要以上の証拠金を口座にいれない
(2)と矛盾するような書き方ですけど、これは師匠自身が身をもって経験した教訓からきてます。もともと師匠は100枚張りの人ですので、口座に数千万を入れてました。証拠金維持率は数千%を超えて、常に余裕です。
でも、「余裕すぎて多少の損失が出ていても耐えてしまう」のが、まずいと常々いってます。実際、リーマンショックの時は、証拠金に余力がありすぎて、過度に損失に耐えてしまった面があったようです(その前に一切注文が通らないという事態がありましたけど)。
(4)指標を避ける
経済指標は、唯一予測可能な急変ですね。
だから、経済指標の時間をあらかじめ把握しておいて、その時間帯の前にポジションを閉じておいたり、両建てにしてスクエアにしておきます。
為替和尚の教え
「とりあえず挟み込んでおけば、スクエアや。あとは、上に行こうが下に行こうが、なんぼ飛ぼうが俺の金やないんだから、しらん。」
いかにも師匠らしい台詞です。
指標の猛烈な値動きをみると、つい自分もと考えてしまいますけど、指標発表時は注文が通らなかったり、スリップページ、スプレッドの拡大などが発生します。もちろん、師匠もたまには指標をねらいますが、安定した収益を確保したいなら、普段のトレードで着実に利益を積み上げるべきだと言います。
システムトレードの視点での注意点
予期せぬ市場の動きは、システムトレード、特に自動トレードにおいては別の観点からの注意が必要です。
注文が通らないリスク
急激なレート変動が起きているときは、参加者も混乱するし、過度な注文も発生するので、注文が通らない可能性があります。
スリップページですめばいいですけど、最悪の場合、なにもできずに持って行かれるだけということもあり得ますね。
新規ポジションをもてないだけなら何とかなりますけど、既存ポジションに対する決済注文が通らないのが一番最悪です。
こういう事態を想定するなら、仮のS/Lでもいいので、「最悪の損失幅」を決めておくことが大事です。
テクニカルがワークしなくなる
移動平均をふくめ、ぐちゃぐちゃになります。
サポレジもこれまで使っていたものが、遠くに追いやられるので使えません。
しばらくマーケットが落ち着くまでは、テクニカルが使い物にならないので、シグナルを発するシステムトレードや自動トレードは、かなり影響を受けますね。
何度も間違えてらっしゃるので書きますが、スリップページではなく、スリッページです。slip の語末音節 (単音節語ですが) が、強勢のある短母音から成るので、スペリング規則として、p をダブらせてから接尾辞 (-age) をつなげるだけで、音声は1音です。英語の音声としては「スリッピジ」か「スリッペジ」の方が近いと思いますが、カタカナ表記としては「スリッページ」ですね。