トレンドフォローの落とし穴

2012/12/22 カテゴリ:機械化への道のり
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テクニカル指標を使って自動トレードのルールを定義する場合、誰もが一度はハマる落とし穴があるの知ってますか?

 

トレンドフォローシステムのジレンマ
吉田も師匠(為替和尚)も、この穴から抜けだせず、かなり回り道をしてきました(笑)。

 

この落とし穴は、自動にかぎらず、自分でトレードルールを作ろうとしているすべての人にもあてはまります。
しかも、それに対する対応策を講じていくと、さらに深みにハマるというタチの悪さです!

 

どんなメカニズムかわかりますか?

 

トレンドフォローシステムのジレンマ

トレードルールは、トレンドフォローと逆張りの2種類しかありません。逆張りは、どちらかと言えばレンジ相場の攻略に使われるロジックですが、みんなが好むのは、やはり獲得Pips数が多いトレンドフォローのロジックです。

 

吉田と師匠が最初に考案したルールもやはり、トレンドフォローでした。
そのトレードルールの名前は「パトリオットシステム」。
相場の流れに逆らわず、トレンドの出ている方向にずっとついていくシステムです。

 

これだけ聞くと、いいことづくしだし、相場の流れに逆らわないのは、非常に理にかなったコンセプトに見えますね?

 

でもずばり、欠点をいうと…

トレンドの判定を重視すると、エントリーが遅くなる

エントリーのタイミングを早くすると、騙しが多くなる

吉田は

トレンドフォローシステム
のジレンマ

って呼んでます。

 

トレンドフォローのシステムを作ろうとすると、きれいにトレンドが発生している箇所を抜き出して、あれこれ考えるようになる。

キレイなチャートで検討すると、テクニカルの動きにイレギュラーがないので、すごくワークしているように見えるんです!

 

でも、確実にトレンドを捉えようとすれば、エントリータイミングが遅くなるし、エントリータイミングを早くすると騙しやミスジャッジが多くなる。「トレンドフォローシステムのジレンマ」に悩みながら、あれこれフィルターを足していってしまうんですよ。

パトリオットシステムの場合

記念すべき第1号のトレードルールである「パトリオットシステム」をもとに説明をしていきますね。まずはルールから。

買いのルール

買いエントリーのルール

  • 平均足の色が青に変わっていること
  • 前回の高値を超えていること
  • MACDが0より上に抜けていること(クロスオーバー)
  • MACDのヒストグラムが青(前回値よりも上方向に増加)
  • 終値>SMA(55)
  • 終値>一目均衡表の基準線
  • 終値>EMA(13)
  • EMA(13)>一目均衡表の基準線
売りのルール

売りエントリーのルール

  • 平均足の色が赤に変わっていること
  • 前回の安値を下回っていること
  • MACDが0より下に抜けていること(クロスオーバー)
  • MACDのヒストグラムが赤(前回値よりも下方向に増加)
  • 終値<SMA(55)
  • 終値<一目均衡表の基準線
  • 終値<EMA(13)
  • EMA(13)<一目均衡表の基準線
トレードルールの概要

 

MACDのクロスオーバーと平均足の色かわりでタイミングを取り、SMA(55)とEMA(13)、一目均衡表の基準線の位置関係でトレンド方向を確認しています。

売りエントリーチャート(1M)

※クリックで拡大できます。

 

トレンドの確認に、EMAやSMAを使うのは、よくあることですね。

EMA(13)はチャートを見ればわかりますが、ローソク足の実体に近い表示になるし、SMA(55)はとらえるべきトレンドになっています。55というパラメータは、1時間の流れを示しています。

 

平均足はローソク足の実体とはちょっと違うけど、トレンドが継続している時は、同じ色が連続するので、トレンドを捉えるのに向いてるし、色変わりでタイミングも取れますね。

 

MACDは、2つのEMAの差を見ており、クロスオーバーが発生する箇所は、EMAのゴールデンクロスとデッドクロスを見ているのとまったく同じ事です。

ちなみに、上のMACDは、クロスオーバーの箇所に矢印が出るようにしてます。

 

なかなか、良いポイントを捉えてるでしょ?

 

テクニカルを組み合わせて、エントリールールを決めた後は、たいてい条件を絞り込んだインジケータを作ります。売り買いのポイントで矢印が出るようにして、実際のルールがあっていることを確認するためです。

ルールをシグナルインジケータにしてみると

さぁ、自慢のルールをインジケータにしてみてみます。

エントリーシグナルを重ねてみる

※クリックで拡大できます

 

図のチャートは、同じ場所にシグナルを出すインジケータを重ねたところ。
試行錯誤をしていたので、ぴったり初期のルールというわけではないけど、基本線はまったく同じ。

 

売りのトレンドは良いポイントを捉えているように見えますね!?

 

「よしよし!」と思いながら、別の箇所をチェックしてみると…

何やってんの! エントリー遅いよ

※クリックで拡大できます

 

こういうレンジ相場では、エントリーが遅いからやられまくりです!
それでも、チャートを見ていると、もっと早く入れば、数pipsでも抜けそうな気になってくるので、エントリータイミングを早くするために、条件やパラメータを見直すようになります。

 

でも、そうすると、トレンドの判定を無視する形になるので、トレンド継続中の押し目で逆に入ったりするようになる。

 

これが「トレンドフォローシステムのジレンマ」です。

 

なお、上記の例は、最初の条件付けだけでは師匠とおなじエントリーポイントで入れないだけで、師匠のトレードスキルとは無関係です

シレンマが発生する原因

このように「トレンドフォローシステムのジレンマ」が発生するのには、理由があります。ズバリいうと…

目の前のチャートにルール
をあわせてしまう

からなんです! パラメータを都合のいいように調整する行為を「カーブフィッティング」といいますが、見ているチャートにあわせてルールを変える行為もカーブフィッティングです。

 

チャートを見ながら

「ここの部分が取りたいなぁ」
「ここのエントリーおかしいなぁ」

と試行錯誤をしてしまうと、どんどんロジックがネジ曲がっていきます。本当の原因は別にあるんだけど、たまたま大きなトレンドとかがキレイにとれているのを見ると、例外処理をすればいけるだろうと勘違いをしてしまうんですよ。

 

前に「チャートを効率良く見るコツ」でも触れましたね。

 

この場合の本当の原因は、なんだかわかりますか? みなさん、ちょっと考えてみてくださいね。

チャートを見ながらルールをいじっちゃ駄目だよ

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