トレンドフォローの落とし穴
テクニカル指標を使って自動トレードのルールを定義する場合、誰もが一度はハマる落とし穴があるの知ってますか?
吉田も師匠(為替和尚)も、この穴から抜けだせず、かなり回り道をしてきました(笑)。
この落とし穴は、自動にかぎらず、自分でトレードルールを作ろうとしているすべての人にもあてはまります。
しかも、それに対する対応策を講じていくと、さらに深みにハマるというタチの悪さです!
どんなメカニズムかわかりますか?
トレンドフォローシステムのジレンマ
トレードルールは、トレンドフォローと逆張りの2種類しかありません。逆張りは、どちらかと言えばレンジ相場の攻略に使われるロジックですが、みんなが好むのは、やはり獲得Pips数が多いトレンドフォローのロジックです。
吉田と師匠が最初に考案したルールもやはり、トレンドフォローでした。
そのトレードルールの名前は「パトリオットシステム」。
相場の流れに逆らわず、トレンドの出ている方向にずっとついていくシステムです。
これだけ聞くと、いいことづくしだし、相場の流れに逆らわないのは、非常に理にかなったコンセプトに見えますね?
でもずばり、欠点をいうと…
トレンドの判定を重視すると、エントリーが遅くなる
エントリーのタイミングを早くすると、騙しが多くなる
吉田は
トレンドフォローシステム
のジレンマ
って呼んでます。
トレンドフォローのシステムを作ろうとすると、きれいにトレンドが発生している箇所を抜き出して、あれこれ考えるようになる。
キレイなチャートで検討すると、テクニカルの動きにイレギュラーがないので、すごくワークしているように見えるんです!
でも、確実にトレンドを捉えようとすれば、エントリータイミングが遅くなるし、エントリータイミングを早くすると騙しやミスジャッジが多くなる。「トレンドフォローシステムのジレンマ」に悩みながら、あれこれフィルターを足していってしまうんですよ。
パトリオットシステムの場合
記念すべき第1号のトレードルールである「パトリオットシステム」をもとに説明をしていきますね。まずはルールから。
買いのルール
- 平均足の色が青に変わっていること
- 前回の高値を超えていること
- MACDが0より上に抜けていること(クロスオーバー)
- MACDのヒストグラムが青(前回値よりも上方向に増加)
- 終値>SMA(55)
- 終値>一目均衡表の基準線
- 終値>EMA(13)
- EMA(13)>一目均衡表の基準線
売りのルール
- 平均足の色が赤に変わっていること
- 前回の安値を下回っていること
- MACDが0より下に抜けていること(クロスオーバー)
- MACDのヒストグラムが赤(前回値よりも下方向に増加)
- 終値<SMA(55)
- 終値<一目均衡表の基準線
- 終値<EMA(13)
- EMA(13)<一目均衡表の基準線
トレードルールの概要
MACDのクロスオーバーと平均足の色かわりでタイミングを取り、SMA(55)とEMA(13)、一目均衡表の基準線の位置関係でトレンド方向を確認しています。
※クリックで拡大できます。
トレンドの確認に、EMAやSMAを使うのは、よくあることですね。
EMA(13)はチャートを見ればわかりますが、ローソク足の実体に近い表示になるし、SMA(55)はとらえるべきトレンドになっています。55というパラメータは、1時間の流れを示しています。
平均足はローソク足の実体とはちょっと違うけど、トレンドが継続している時は、同じ色が連続するので、トレンドを捉えるのに向いてるし、色変わりでタイミングも取れますね。
MACDは、2つのEMAの差を見ており、クロスオーバーが発生する箇所は、EMAのゴールデンクロスとデッドクロスを見ているのとまったく同じ事です。
ちなみに、上のMACDは、クロスオーバーの箇所に矢印が出るようにしてます。
なかなか、良いポイントを捉えてるでしょ?
テクニカルを組み合わせて、エントリールールを決めた後は、たいてい条件を絞り込んだインジケータを作ります。売り買いのポイントで矢印が出るようにして、実際のルールがあっていることを確認するためです。
ルールをシグナルインジケータにしてみると
さぁ、自慢のルールをインジケータにしてみてみます。
※クリックで拡大できます
図のチャートは、同じ場所にシグナルを出すインジケータを重ねたところ。
試行錯誤をしていたので、ぴったり初期のルールというわけではないけど、基本線はまったく同じ。
売りのトレンドは良いポイントを捉えているように見えますね!?
「よしよし!」と思いながら、別の箇所をチェックしてみると…
※クリックで拡大できます
こういうレンジ相場では、エントリーが遅いからやられまくりです!
それでも、チャートを見ていると、もっと早く入れば、数pipsでも抜けそうな気になってくるので、エントリータイミングを早くするために、条件やパラメータを見直すようになります。
でも、そうすると、トレンドの判定を無視する形になるので、トレンド継続中の押し目で逆に入ったりするようになる。
これが「トレンドフォローシステムのジレンマ」です。
なお、上記の例は、最初の条件付けだけでは師匠とおなじエントリーポイントで入れないだけで、師匠のトレードスキルとは無関係です
シレンマが発生する原因
このように「トレンドフォローシステムのジレンマ」が発生するのには、理由があります。ズバリいうと…
目の前のチャートにルール
をあわせてしまう
からなんです! パラメータを都合のいいように調整する行為を「カーブフィッティング」といいますが、見ているチャートにあわせてルールを変える行為もカーブフィッティングです。
チャートを見ながら
「ここの部分が取りたいなぁ」
「ここのエントリーおかしいなぁ」
と試行錯誤をしてしまうと、どんどんロジックがネジ曲がっていきます。本当の原因は別にあるんだけど、たまたま大きなトレンドとかがキレイにとれているのを見ると、例外処理をすればいけるだろうと勘違いをしてしまうんですよ。
前に「チャートを効率良く見るコツ」でも触れましたね。
この場合の本当の原因は、なんだかわかりますか? みなさん、ちょっと考えてみてくださいね。